松本深志
舞台保存会

松本深志舞台保存会

松本深志舞台保存会は深志神社の氏子・南深志地区舞台保有16町会により、平成7年に結成されました。その16町会は、本町1、2、3、4、5丁目、伊勢町1、2、3丁目、博労町、中町1、2、3丁目、飯田町1、2丁目、小池町、宮村町1丁目、以上の16町会になります。いずれも江戸時代初めより松本城下町の親町・枝町を構成する古い町です。
その後、北深志地区の東町2丁目と六九町が準会員として加わり、現在18町により組織されています。
松本深志舞台保存会は各町において保有する舞台と舞台行事について、その保存と伝承を行うため課題について話し合い、舞台文化継続のため活動を続けています。
各舞台については〔舞台〕をご覧ください。
また、舞台保存会の活動については、舞台保存会便りにてお伝えしております。

(天神まつり 舞台曳航風景)

保存会の目的と活動

松本深志舞台保存会の主な目的は次の3点です。(1)舞台の研究 (2)舞台の保存と修復 (3)舞台行事の伝承

(1)舞台の研究
会の発足当初より有識者による講演会などを開催し、深志舞台の研究・学習を行ってきました。最初に岐阜工業高等専門学校教授(当時)水野耕嗣先生に深志舞台の調査をいただき、16舞台の由緒概要をまとめていただきました。その成果は平成11年岐阜工業高等専門学校紀要に「松本深志神社天神祭祭礼の舞台」として論文にまとめられました。
また平成16年より、信州大学工学部建築学科土本俊和教授の土本研究室に舞台調査を依頼し、舞台修復に際して舞台の建築学的調査を行ってきました。
この成果は、平成28年に「松本深志舞台調査図面集」としてまとめられました。これにより建築物としての舞台の構造が明らかになり、歴史的文化財としても研究がいよいよ進むことが期待されます。


「松本深志舞台調査図面集」と掲載図面

(2)舞台の保存と修復
舞台保存会結成の大きな理由は、昭和の終わり頃から各町会の舞台の劣化が目立ち始め、その維持管理が各町会の悩みとなり、修復についても財政面も含めた修復方法が共通課題となっていたことです。
保存方法については水野先生に指導を受ける一方で、傷みの進んだ舞台は修復をすることとし、平成11年、博労町舞台の修復が嚆矢となり「平成の舞台修復事業」が始まりました。
その後、JR東日本文化財団より支援金を受けて舞台修理・調査助成金の制度ができ、さらに平成13年、松本市の『重要有形民俗文化財』に指定されたことにより、舞台修理に当たり市より補助金を受けられることになりました。

舞台修理審査委員会風景 松本建労会館にて

修復に際しては信州大学土本研究室に舞台調査を依頼し、土本教授をはじめ学識者による舞台修理審査委員会の修理指導を受けて文化財としての修復方針を徹底しました。そして修復施工は松本や塩尻木曽地域の地元の伝統職人による舞台修理プロジェクトチームが当たりました。これは地元の伝統技術伝承という目的に沿うものです。
平成26年には18台全ての舞台が修復を完了し、平成の舞台修復事業は完了しました。
事業に携わっていただいたすべての方々に感謝を申し上げますとともに、令和の時代もその先の時代までも、舞台と舞台行事が引き継がれてゆくことを願うものです。

深志神社境内に並ぶ舞台

(3)舞台行事の伝承
深志舞台には伝統の祭囃子が町内ごとに伝わっています。天神まつりでは子供たちが舞台に乗って、お囃子を演奏することになっています。天神まつりが近づくと、舞台町内では町ごとに子供を集めてお囃子の稽古をしてきました。
しかし、近年の少子化と中心市街地の人口減少により、町会ごとのお囃子伝承が難しくなってきました。そこで舞台保存会が主体となり、平成20年より「松本の祭囃子伝承スクール」を開講し、お囃子の伝承を行っています。このスクールは町会の垣根を取り払い、更に舞台町会以外の子供たちにも呼び掛けて、伝統の囃子を伝えてゆこうとするものです。毎年数十名の子供たちが、お囃子を習って舞台に乗っています。

「松本の祭囃子伝承スクール」練習風景

また、平成21年にはお囃子の記録伝承のため学習用DVD「松本の祭囃子」を制作いたしました。各町内のお囃子を記録したCDと、作曲家丸山嘉夫先生による五線譜楽譜も添付されています。

DVD「松本の祭囃子」6曲の演奏と、48曲収録のCD、楽譜付 ¥3,000)

深志舞台は松本市より『重要有形民俗文化財』に指定されました。民俗文化財ということは、舞台だけでなく舞台に関わる民俗行事を含め文化財に認定されたということです。
舞台保存会はこれからも舞台を中心とした伝統文化の保護育成に努めてまいります。

お囃子スクール 天神まつりでの発表会風景